作業事例の紹介(ブログ)
2024年06月02日

当店販売車両の保証修理の状況です。BMW F01 740i

突然ですが、当店で販売する車両の保証内容についてご案内いたします。

個々に定めた期間内に発生した不具合に対しては当店での修理に限定とし、

修理に必要な部品代はお客様のご負担とさせて頂いております。

また、全ての機能や装備を対象とはしておりません。

具体的にどこからどこまで、という設定もありませんが独自の基準にて

対象かどうか決めさせて頂いております。

 

と、ここまでの説明を聞くとそれって保証になるの?と感じるかもしれません。

 

ですので今回は実際に保証対象とした修理の内容をご案内します。

繰り返しになりますが必ずしも同じ保証とは限りませんのでご了承ください。

お車はこちら。

WALDコンプリートのF01 740iになります。車高調ですがオトナっぽい車高が良いですね。

当店側のスタンスとしては保証する、と思うと心配が尽きないのが正直なところ。

でも購入されるお客様の立場からしたら保証が無いと心配ですよね。

 

こちらの車両も独自の自社保証という形で販売しましたが、ご納車後に不具合が発生してしまいました。

 

ご納車までは何度も試運転を繰り返し、点検と整備もその都度実施して万全を期したつもりでは

ありましたがご迷惑をお掛けしてしまいましたので、その内容を包み隠さずにご紹介します。

車の知識がある場合はATだとすぐ理解できると思います。そうなんです。

オートマの警告灯が点灯したり消灯したり。走行に影響は無さそうでしたが、

エラー表示が出るという事は何かしら不具合を抱えています。

 

コーディングやアダプテーションと言った部品と車両のマッチング的な作業を

せずに部品交換を行うと表示される警告でもありますが、今回は納車整備でAT内部を

触った事はありませんでしたので、何かが潜伏しています。

 

診断機で確認すると通信エラーといった内容がメモリされていました。

この場合、電源及びマナスのアース、ヒューズやリレーなど関係する部品間の

断線も同時に疑うべきであり、その配線1本1本の導通確認も中々の作業です。

 

またATとEgが一部でデータ共有をしていたり、パワステやABSなんかも連携している

ケースもありますので、診断機に表示される内容だけと決めつけてしまうと診断の

初期から大幅に間違った方向へ作業を進めてしまう恐れもあります。

 

今回は途中経過は端折りますが、結果的にAT内部にあるEGSユニット本体の内部故障という

判断に至りました。

単体供給されていないこのユニットが駄目なのですが、イコールATごと載せ替え。

でもそれってタイヤがパンクしたからホイールごと買い替える様な訳でして。

修理工場の整備士としては根本の修理を行わないとダメですよね。

画像右側の黒い部品が正しくはEGSユニットという簡単に言えば基盤になっています。

この部品を他車または中古ATから移植するのですが、先の通り車両データを移し替える

作業が必要になりますが、その作業は専門の業者に依頼します。

ATパンを外しましたのでガスケット交換が必要になりますがオイルパンASSYでの

供給のためATパンごと交換。ストレーナー内蔵です。

 

別で試運転の際に足回りに違和感がありました。

納車前に散々行った試運転では感じませんでしたが、改めて運転してみるとどうも

劣化が進んだのか気になるレベルでしたので、コントロールアームのブッシュを確認

すると明らかな劣化が見受けられましたので交換させて頂きました。

今回、ご納車から警告灯の点灯、ご入庫から作業の完了まで長い時間が掛かってしまいました。

お客様からすると購入した車に乗れない期間、代車でお過ごし頂いております。

 

具体的には7シリーズを購入したのに代車の軽自動車。なんだかなぁ。

 

更には時期的な問題で7シリーズの自動車税の納付書が届く始末。

もちろん状況なんか知らない役所ですから、納付期限なんてものも書いてある。

 

気が狂いそうになりますよね。

 

本当に頭が下がる思いです。

 

これでスッキリ気持ちよくお乗り頂ければと思うと共に私どもの対応で良かったかどうか

改めて考える機会となりました。オーナー様にはこの場を借りてお詫び申し上げます。

 

さてさて。ここからが本題なんです。お伝えしたかった事は。お付き合いください。

 

記事の冒頭に当店の保証の内容について記載しました。

そこには「部品代はお客様のご負担」とありますが、今回の修理は初期不良として

お客様にご負担をお願いすることはしませんでした。

 

サービスしました!素敵でしょ!

 

そんな内容でも無いんです。本題は更に奥のほう。言わせてください。

 

全国には本当に多くの中古車販売店がありますね。大手やディーラー系、個人店など。

ユーザー目線で考えてみますと、同じ条件の中古車が同じ価格で販売されていたとして、

A店=1年間の無料保証

B店=別途有料にて保証あり

C店=保証なし

この中だと誰がどう考えても絶対にA店しか選択しませんよね。当然だと思います。

 

でもね。

 

全てがとは言いませんが多くのお店では「保証」だけを販売している第三者へ

費用を支払っているケースが見受けられます。

期間内に不具合が生じた場合、ユーザーはその保証の規定に沿って保証を受け

られるのですが、このようなケースの場合、販売店では修理ができないという理由が

考えられます。

 

販売店側のスタンスで考えると、整備はできないから保証がネック。だから売れない。

 

そこで生まれたのが販売店に向けて売り込むこの様な保証を販売する商品。保険ですね。

で実際のところ、って話になりますが先にありました「規定に沿って」の部分でどうやら

揉めてしまうケースがあるみたいです。

 

例えばオーバーヒート。原因は冷却水の不足で更にその原因は冷却水の漏れ。

更に漏れの原因はラジエターの割れだとすると、最たる原因のラジエター交換までしか

保証されなかったりなど。

 

実際にはシリンダーヘッドに歪みが生じて燃焼室内に冷却水が侵入していたり、

場合によってはエンジン自体がもう再利用できなかったり。

それでも突きつけられるのはラジエター交換まで、の1点張り。

 

「保証」を販売する側も何でもかんでもハイハイ言えませんよね。商売ですので。

 

更には免責期間というのがあって、納車から45日間は適用外ってのもあります。

この免責期間が設けられた経緯については皆さんでお考えください。

 

販売店が自分たちで1台1台しっかり点検や整備を行い、試運転も含めて

万全の状態でお届けすることができればそういったトラビルも回避できると

思いませんでしょうか。

今回の7シリーズも当然ですが点検も整備も試運転もしっかり行いましたが

ご迷惑をお掛けする事になってしまいました。

でも、当記事の通り自社にて修理対応させて頂いております。時間はかかりましたが。

 

さて。途中にありました保証のうちAでもBでもCでもない当店の保証について

みなさんはどの様に受け止めましたでしょうか。