作業事例の紹介(ブログ)
2024年05月21日

販売車 ディスカバリーⅡ 前期モデル LT56A 納車整備の状況 続その1

前回、納車整備の一部をご紹介しました、ご成約頂いたディスカバリー2の納車整備の続きです。

前回は車台周りの内容がメインでしたが今回はEg本体に手を入れます。とは言ってもレストアとか

オーバーホールとかの領域ではなくあくまでも一般整備、修理の内容になります。

作業に邪魔なボンネットを外して。気合の入れ方が伺えます。

ナンバーが付いていますので車検取得済みですが、車体側の作業とエンジン側の作業は別で進めます。

足回りやブレーキなど走行に関係するものを先にスッキリさせてしまえば、あとは基本的にEgルームの

作業を集中するだけですので、こういった時間の使い方も工夫が必要になります。

とはいえ今回は2月初旬にご成約頂き、3月末は間に合わないかもしれないという事をお伝えしたうえで

作業を進めましたが諸事情が色々ありまして車検を先に取得させて頂きました。

結果的にご納車が5月の連休明けになってしまいましたが、その理由と内容を記載いたします。

もちろん、お客様には都度状況のご説明をしっかり行ってご了解というかお許しを頂いております。

一度しっかり洗浄しましたが少し走るだけでこの状況です。オイル漏れですね。

その原因箇所はどこなのか、漏れの程度はどのくらいなのか。

1台1台しっかり確認をして整備内容を決定しますが当車両は中々のボリュームになります。

Egの一番上部にあるヘッドカバーを左右バンクとも外します。

目的は更に下段のシリンダーヘッドを外す必要があります。

と文字では簡単ですがインテークその他余計なものを外すだけでも大変です。

年数が経過していますので、今現在は不具合が生じていないホースなども、脱着後に割れたり

抜けたりとリスクがどんどん増えますが、そんな事を言っていたら何も出来ません。

ヘッドカバーを外して

シリンダーヘッドと共にフロントカバーまで外した状態です。

この時点で冷却水の漏れ修理も追加になりました。

みなさん大好き、ピストンヘッドがお目見えです。スラッジが少ない(無いと言って良いレベル)なのは

作業前にWAKO’S RECSを実施したためです。意外と効果がある事が伺えます。

比較対象にはなりませんが、オイルが通過する他の部分で確認しましょう。

先ほど外した画像をお見せしましたヘッドカバーの内側です。

燃焼室とは異なりオイルが循環するだけですので、スラッジの堆積は仕方がありませんが・・。

バルブ周辺、燃焼室の内外ともに凄い状態です。

ある程度は想像していましたが実際に目の当たりにすると言葉を失うと言いますか、気が遠くなります。

作業の本来の目的はオイル漏れの修理ですが、この状態を見て、ガスケットを除去して交換、組み付けて

ハイ!終わり!なんて事はできません。

愛を込めて。

いや、良くなれ良くなれ!と願いを込めてシコシコシャカシャカ、時には工具や溶剤も使用して洗浄していきます。

繰り返しますが目的はオイル漏れの修理です。

本当に気が遠くなる作業ですが、組み直したあとで不具合が生じる可能性を潰すべく

他の作業との時間調整をスタッフ全員で協定して、月間>週間>時間のスケジュールを調整します。

 

今回、交換の予定には入っていないコイルの交換をご提案させて頂きました。

ここまで作業するならアレもコレも交換するべきだ、と思う事って当然あると思います。

個人の車を趣味の範囲でとか、費用に制限なく作業ができるのでしたらそれもアリだとは

思います。リスク増えるけどね。

しかし今回はあくまで販売した車両の納車整備ですので、現時点で不具合のない部品まで

交換することはできないというか、やはり取捨選択が必要になります。

このコイルの交換ですが、もしこの先不具合が生じて交換となると、設計と取り回しが悪いため

交換工賃だけで馬鹿にならない金額が生じます。先のヘッドカバーにアクセスするのとほぼ同じ。

左右で違う部品ということは何かしらの理由で片側だけ交換しています。

ボッシュ品番はおそらく純正のため、交換していない可能性が高いと推測されます。

そこで今回はコイル2つのうち片側だけ、交換のご提案をさせて頂きました。

もちろん部品代だけです。

さてさて。洗浄も進んでます。このクランクは上を向いての作業ですので、パーツクリーナー

など吹けば全部こちらに向かって落ちます。いや本当に大変です。

バルブ周辺の洗浄完了。

 

オイルパンはこれ以上は研磨の領域なのでここまでとします。

繰り返しますが、目的はオイル漏れの修理です。

さて。そろそろ組み上げですが記事の内容がボリューミーですので今回はここまで。

ご納車までお時間を要してしまう理由が少しでもご理解頂ければと思います。